移転価格税制の適用対象となる取引

課税逃れを防止することができます

移転価格税制は日本企業が海外子会社との取引価格について、人為的に操作し税率が低い海外に所得を移転することで課税所得を減らすのを防止するために設けられました。
移転価格税制は1986年に制定されており、大企業の問題と認識されていたので中小企業の取引においてそれほど意識されていない歴史があります。
しかし海外の巨大企業が税制や国際課税ルールにあるズレや、タックスヘイブンなどを利用し課税所得を人為的に操作したり課税逃れを行うことが問題になりました。
経済協力開発機構によるBEPS(税源浸食と利益移転)のプロジェクトが立ち上がり、移転価格税制が注目されるようになります。
プロジェクトはいろいろなBEPS行動計画が纏められており、多国籍企業の企業情報に関する文書化提案によって、国内でも移転価格税制について文書作成が義務付けられるのです。
大企業はもちろん海外子会社を抱えていたり、海外進出を検討する中小企業も移転価格税制を意識しなければいけません。

海外関連者で行う取引のほとんどは対象です

移転価格税制への対応を怠ると大変で、グループでの課税が増えるリスクが生じます。
海外進出を考えており海外子会社を保有する企業の場合、移転価格税制についての理解や対処などが必要です。
移転価格税制は国外関連取引が適用対象になっていて、これは日本の法人と国外関連者との間で発生する資産の販売や購入、役務提供や他の業務など言います。
国外関連者は日本の法人との間において、直接か間接的に50%以上株式や出資の保有関係などがある者です。
日本の法人から役員が派遣されていたり、取引の依存によって実質的支配や従属関係にある者も言います。
この適用対象として法人が国外関連者との間で行う資産の販売や購入、役務の提供や他のことで、日本の法人と関連者で行うことの多くが含まれることになるでしょう。
実務上問題になるものとして棚卸資産取引があげられます。
海外子会社に製品を売買するのも適用対象で、海外において製造しマーケティング支援する役務も取引の対象です。

まとめ

諸外国において独自の移転価格税制が導入されており、海外子会社が所在する国々でも移転価格課税を受けることがあるでしょう。
移転価格税制を導入する国について、内容や執行状況などはさまざまです。
場合によって日本と外国の税務当局によって相互協議を求めるケースもあり、この制度は法人税申告など税務とは異なる専門性があるでしょう。
他国の移転価格税制について理解が必要で、何も対処せずに海外子会社を作ると大きなリスクを負うかもしれません。
事前に移転価格税制を理解することが求められます。

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